PA-34-220T (Piper Seneca V) Cylinder Removal and Installation 1
Compression Checkで不合格となってしまったPiper Seneca Vを格納庫内に移動して数日。準備も整い、作業開始です。今日の目標は、左側Engineの2番と6番のCylinderを2つ取り外してEngine Shopへ送ることです。予想ではExhaust Valveが熱によって焼けてしまったためと考えています。

作業対象のContinental ISIO360-RB Engine。
Carburetor装備のEngineでは、それぞれのCylinderでのEGT (Exhaust Gas Temperature: 排気温度) はほぼ均一であるかと思いますが、Fuel Injection Engineでは、Fuel Injector Nozzleからの燃料噴射量が、Nozzleの製品誤差や異物による詰まりなどの理由で、個々のCylinderで均一で無い場合があります。(もっと細かく言うと、個々のCylinderの環境が異なるため、燃料噴射量も変化させる必要があるのですが) 燃料噴射量が少ないとEGTが高くなり、多いと低くなります。Pilotの方の中には、燃料を節約したいがために、EGT Gaugeを見て限界近くまで燃料噴射量を減らす人がいますが、私は賛成できません。通常、標準で計器盤に装備されているEGT Gaugeは、最も高い温度であろうと推測されるCylinderの一つの値をとっています。よく見られるのは、水平対抗Engineの最後部のCylinderのExhaust PipeにEGT Probe (計測針) を取り付ける方法です。冷却風が最も当たりにくい、高温度にさらされる場所のため、EGT温度も高いであろうという理由からです。Probeが一つで済むために簡素になることはいいのですが、この場合は他のCylinderの実際のEGTは知る方法がないということになります。先ほど述べたように、他のCylinderではEGTの限界値を超えてしまっているかもしれません。また、EGT Probeも古くなってくると、熱によって劣化して正確な値を示さなくなりますから、Mixture調整は多少の余裕を持って行うことが必要かと思います。

Piper Seneca Vに標準装備されているのは、EGT Gaugeではなく、TITです。
どちらも排気温度を測ることには変わりませんが、Cylinderからは距離があるため、
途中での冷却によってEGTよりは値が多少低くなります。
それぞれのCylinderの環境をもっと正確に監視するには、Engine Monitorが必要になります。Insight AvionicsやJP Instrumentsが製造している計器は、それぞれのEGTやCHT (Cylinder Head Temperature) はもちろん、Turbochargerの場合はTIT (Turbine Inlet Temperature: 過給機入口温度)、外気温度なども表示してくれます。私がもし個人でFuel InjectionのEngine装備の飛行機を手にしたら、迷うことなく取り付けるでしょう。

Insight Avionics社製のGemini 1200。
左右両方の6つのCylinderのEGT、CHTなどを同時に視覚的に表示しています。
温度を数字で表示することもできます。
それでは作業開始。作業時間を可能な限り短く、かつ簡単に行うため、取り外しに必要な周辺部品も出来る限り少なく外します。取り外すCylinderは、左側Engineの左側Cylinder、前部の6番と後部の2番です。ざっと周りを見渡して、ます取り外す部品はBaffle (冷却風を整える板)、 Intake Tubes、Exhaust Pipes、Fuel Injection Lines、それから2番のCylinderの後にあるOil Cooler (潤滑油冷却器) といったところです。

Exhaust PipeにはInsight Avionics社製Gemeni 1200用のEGT Probeが取り付けてあるので、
完全には取り外さずにEngine Mountに固定します。

6番のIntale Tubeを取り外しています。
取り外した後は、異物が入り込まないように、布などで塞いでおきます。

Intale TubesとFuel Incetor Lines、Bleed AirのTubeを取り外し終えました。

2番Cylinderを取り外しに掛かります。写真のような、Cylinder Base Nut Wrenchと呼ばれる特殊工具を使って作業します。
工具自体がCylinderを避ける形で曲がっています。これ無しでは取り外しはまず不可能です。

途中で、2番Cylinderの取り外しにはOil Coolerの取り外しも必要なことに気づきました。
Oil Cooler上のBaffleとOil Coolerを外すのには随分と時間をかけてしまいました。
Continental社製のEngineでは、毎回この辺りで苦労をします。

Oil Coolerが外れ、これで2番CylinderのBase Nutに手が届きます。
Part 2へ続く
PA-34-220T (Piper Seneca V) Cylinder Removal and Installation 2
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