民間の航空機は、戦争に巻き込まれないように条約で取り決めされています。(国際民間航空条約) それは当然ながら、民間の航空機が軍事的な役割を果たさないというのが前提です。軍事的なことはしないのだから、 撃たないでくれ、ということです。 ところがあろうことか日本政府は、私たちが日ごろ利用している全日空(ANA)、日航(JAL)、日本エアシステム(JAS) に対して、米軍を輸送できる資格をとるようにと要請しています。 民間航空機が軍事利用されれば、条約の保護を失い、撃墜される可能性が生じます。いったん軍事利用の可能性があるとなれば、 どの航空機が米軍を輸送しているかわからないので、その航空会社の航空機すべてが攻撃の対象になり得ます。 そうなれば、もはや私たちの空の安全は保障されなくなります。 日本政府は、いったい誰のために仕事をしているのでしょう。誰を守っているのでしょう。 以下は、航空業界ではたらく方たちが、防衛施設庁長官に対して、「ANA、JAL、JASに 米軍輸送資格を取るよう要請しないでくれ」と申し入れた内容です。 政府がなんと言ったか書いてありますので、ぜひお読みください。 |
2003年5月29日 防衛施設庁 長官 嶋口武彦殿 航空安全推進連絡会議 議長 大野 則行 航空労組連絡会 議長 内田 妙子 日本乗員組合連絡会議 議長 林田 幹男 民間航空会社に対する米軍輸送資格取得要請を 行わないことを求める申し入れ 1.政府は、2003年5月の国会審議の中で、防衛施設庁がANA JAL JAS航空三社に 対し米国国防省の米軍輸送資格を取得するよう要請していたことを認めてい ます。石破防衛庁長官は、「航空三社からの回答はいまだ得られていないが、 今後とも認可の取得を継続して検討していただきたいと考えている。」と答 弁しています。 2.政府は、また、「米軍が民間から航空輸送サービスを調達する場合、米国防 省の関係規則によって米国防省が行う品質及び安全性に関する審査を受け、 輸送資格を取得した航空会社によらなければならない。国内の航空会社はい ずれもこの資格を有していない。輸送手段の選択肢を広げて輸送日程に柔軟 性を持たせたいという考えで、平成12年8月から9月にかけて、三社に米国防 省の認可の取得を依頼したということだ」と2003年5月16日の外務委員会で 答弁しています。 3.私たち航空労働者は、民間航空機の軍事利用に対して反対しています。民間 航空機の軍事利用は、国際民間航空条約および航空法に違反しています。軍 事利用されれば条約の保護を失い、民間航空機の安全は保障されません。私 たちは、民間航空の安全を大きく脅かす防衛施設庁の要請を、断じて認める ことはできません。 4.さらに、現在の国際情勢から鑑み、米国の軍事物資を輸送している航空機に 対するテロの脅威はますます高まっています。事実、米国防省は軍事物資輸 送の航空機に厳戒態勢を取るよう指示しているとの報道もあります。テロ・ ハイジャックに対する脅威は、軍事物資を輸送している当該機にとどまらず、 世界中を飛んでいる日本の航空機に及ぶことから、防衛施設庁の要請を認め ることはできません。 5.また、周辺事態法及び有事関連法案の国会審議の中で、米国による日本周辺 での軍事行動に日本の民間航空機を動員させることが明らかにされており、 米国防省の軍事物資輸送資格取得が日本の民間航空にとって危険極まりない ことは明白です。 6.以上の点から私たちは、貴職が民間航空会社に対して米軍輸送資格の取得要 請を行わないように求めるものです。 以上。 |