表題の通り、XR完全分解の方法とCPU換装法です。XRのCPUを換装するためには本体を完全分解(3枚に卸す)必要があります。この試みに初めて挑戦した方は、XRの伝道師MAOさんです。MAOさんの貴重な情報と、Brown
Sugarさん、そしてsosboyさんから頂いた情報と写真を使って、私(Ibuki)が執筆しました。これから紹介する写真の2/3が私のXR1、残りの1/3がsosboyさんのXR1Gになります。今回の記事は私の換装経験を元にして作っていますので、
XR1(P-II
333MHz)→XR1改(P-III 600MHz w/SpeedStep)
ということになります。
写真は全部で42枚あります。できるだけ軽くしようと努力はしましたが、枚数が枚数ですので、がんばってダウンロードして下さい。写真は全て240x180(小)、800x600(大)に統一しました(スクリーンショットは例外)
まずMMC-2という物についてお話しします。MMC-2とは、「Mobile
Module Connector 2」の略で、Mobile Pentium/Celeronシリーズの一部に採用されているCPUモジュールです。単体のCPUとは違い周辺回路をまとめた回路セット(基板)の様な物です。このモジュールには以下のユニットで構成されています。
- CPU
- CPU電源回路(コア電圧生成)
- チップセット(Northbridge)
- システムクロック
- CPU温度センサー
MMC-2の外部インタフェースコネクタには、メモリバス、PCI/AGP、チップセット専用インタフェース、電源等がアサインされています。
また、AGP出力を搭載するものがMMC-2、これのない物がMMCです。MMC-2のI/FはPCIバス、AGPバス、メモリインタフェース、その他で構成されており、
PCのシステムボード(or マザーボード or メインボード)は各種I/O、メモリ、及び主電源を用意するだけで構わない訳です。下の2枚の写真は、私がオークションで落札後イギリスから届いた、MMC-2
P-III 600MHzモジュールです。

MMC-2(裏)
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MMC-2(表)
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MMC-2のメリットはその互換性の高さです。デスクトップPCでCPUを交換する際はコア電圧や周辺チップセットとの互換性等を考慮しないといけませんが、MMC-2はそういった回路がビルトインで1枚に収められているので交換するだけで動作します。コア電圧も載っているCPUに合わせた定電圧回路が搭載されているので考える必要すらありません。
そういう理屈からCPUやチップセットが世代交代しても、MMCを交換すればマシンの高速化が可能です。現にIntelの最初の触れ込みでは「PentiumMMXを搭載したマシンに改造無しでPentiumIIを載せることが出来る」というものでした(実際DELLのマシンで出来ていたらしい)。もっとも、外部インタフェースが大幅に変わると無理ですが・・・(RIMMとかには対応できない)。ただ、現実的にはBIOSの問題もあるので差し替えるだけで必ず動く、とは限りません。
例えば最近のCPUに付いているSpeedStepですが、これらの機能はBIOS側での対応が無いと機能しません。またPentiumIIのMMC-2をPentiumIIIのMMC-2に交換する場合、状態によってはまったく起動できない事もあります。世代の違うCPUの入れ替えはそれなりにリスクがあるということです。英文のみの情報になりますが、Intel提供のDasasheetにはMMC-2に関する詳細な技術情報が載っています。興味のある方は参考にして下さい。
MMC-2換装の最大の問題点はその入手の困難さにあります。MMC-2は一般には流通しておらず、入手が困難なことが残念ですが、私の様に運良くオークションサイトで発見することも不可能ではありません。この先もし、MMC-2の小売り業者を発見したらお知らせします(情報お持ちの方もよろしくお願いします)。また一部の業者がMMC-2交換サービスを始めたらしいので、そちらを利用するのも一つの手です(技術料が発生するので高価ですが、安心感はあります)。MMC-2は入手さえ出来れば交換はそれほど難しくありません。
高価ではありますが、通常のクロックアップと違い正当な手段での高速化ですのでチップを痛める心配もありません。 ノートパソコンの一部(多くはA4ノート)には、このMMC-2モジュールを使った物があり、もちろんXRもその中の一つになります。SONY
VAIOノートでMMC-2を採用してるのはXRシリーズとFシリーズです。全てがそうでは無いのですが、PentiumIIIを搭載してるマシンは全てMMC-2の様です(Celeron搭載機の一部がBGAタイプを使っているらしいです)。
前置きが長くなりました。さっそく分解&換装作業に入ってみましょう。
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